サホロ湖環境アートの森(長期プロジェクト)
会期:1999年9月7日〜第1期1999年一2001年
会場:佐幌ダム湖周辺地区(上川郡新得町新内)
主催:サホロ湖環境アートの森創造委員会
   新得町、新得町観光協会、とかちのアートを考える会
   十勝毎日新聞社
協力:十勝ダム管理所、北海道電力新得電力所、帯広土木現業所
  (財)河川環境管理財団の河川整備募金によって助成されたものです。

サホロ湖環境アートの森創造委員会
委員長 斉藤 敏雄
副委員長 林 光繁
     森  清
事務局長 貴戸 延之
事務局 三上 大輔  清野 静雄  編田 照茂

ディレクター 佐野まさの
アーティスト
 池田 緑
 梅田マサノリ
 大沼秀行
 佐野まさの
 斉藤道子
 高橋英双
 戸張良彦
 橋本 勇
 米山将治
 吉野隆幸
ワークショップ 制作指導
大越 清一(ポプラ工房)
小林 政博(わかふじ寮)
青木 和明(B-WOOD)

サホロ湖環境アートの森創造委員会/事務局(新得町商工観光課内)
〒081-8501 北海道上川郡新得町3条南4丁目26番地
TEL(代)01566-4-5111  FAX01566-4-5118
インターネットアドレス http://www.tokachi.com/art/

とかちという場と空間を通じた自然との共振。
 サホロ湖環境アートプロジェクトは1997年、帯広の森からでる間伐材を素材にした環境アート「帯広の森アートキャンプ'97」、1998年河川とダムから出る流木、埋もれ木などを素材に十勝川水系札内河川敷で展開された「十勝の川流木アートキャンプ」、1999年十勝川温泉アクアパークで、真冬に開催された「白鳥と流木と光のアート」と、地域の素材と場に関わりながら進めてきた野外でのインスタレーションを中心とした環境アートの活動の流れを受けて始まった長期プロジェクト、サホロ湖とその周辺の自然や人々のくらし、十勝というフィールドと関わりながら、環境という視点を通して、地域から時代の問いを発する場として位置づけ、なにを造るかではなく、なにを見いだし、なにを育てるか、アートにおける新たなシステムの回路を探りつつ、やがてここから広域に広がっていく活動が展開されていくことを願い、とかちにおける環境アートの拠点として、社会と自然環境を結び、創造力を育む活動を展開していき、地域という現実の主体的な再認識、アートを通した独自の感覚が大自然の生命力と共振し、新たな地平を切り開いていく、新たな試みとしてスタートした。

総合ディレクター 佐野まさの

 


サホロ湖環境アートの森プロジェクト開催に当って
  森と湖に抱かれながら、長い年月を経て風化した作品群が、再び自然の一部に還っていく―。
サホロ湖環境アートの森では、作品とともに、制作プロセスそのものを自然の循環システムに取り込んでいます。これだけの大きな舞台で、長期的に取り組む環境アートプロジェクトは、国内でも珍しい試みといえるでしょう。制作者は、十勝の現代アート作家10人。
過去3年間に、間伐材を使った「帯広の森アートキャンプ」、流木を素材にした「十勝の川“流木”アートキャンプ」などを展開し、十勝型の文化を創造・発信してきたメンバーです。
 日本のアートは近代まで、人々の生活に密着した文化として発達してきました。北海道の先住民族であるアイヌ民族の文化や、優れた空間芸術である日本庭園、風土に適合した木の文化である寺社建築などからも、一般の人々とアートの日常的な関りを見出すことができます。そこには、地域独自の文化があり、画一的な近代化政策の中で今は失われてしまった“豊かさ”がありました。
 「中央集権」「異質なモノの排除」など戦後の日本の風土は、地域のオリジナリティーや文化を否定してきました。しかし、本来アートとは、一部の特別な人たちのために存在するのではなく、その土地に住む人々の生活そのものの表現手段(=情報発信)だと考えます。そして、「創る側」だけでなく、「見る側」「住む側」の感覚と視点を通してこそ、地域文化の創造と育成ができると信じています。
 サホロ湖環境アートの森プロジェクトは、ハード重視のこれまでのまちづくりとは違い、「環境」をキーワードに、アートの視点から新得町のあり方を再構築するものです。住民の皆さんが積極的に関りながら、アートを通じたまちづくりを進めることによって、地域の独自性を謳(うた)うことができるはずです。

とかちのアートを考える会
                            会長  林 光繁


サホロ湖環境アートの森の創造に向けて
 ことし開拓100周年を迎えた新得町。いまサホロ湖の−角に新しい息吹が感じられます。
「サホロ湖」は、佐幌川の洪水防止を主目的に昭和59年に完成した佐幌ダムにより作られた人造湖です。その後、地域に開かれたダムづくりとして、ダム湖周辺を親水性のレクリ工−ションゾーンに整備する事業が北海道の手によって進められました。9年の歳月と約19億円の費用をかけた工事は平成9年に完成し、魚釣りやカヌーなどのアウトドアスポーツが楽しめるエリア、森林浴もできる遊歩道、緑豊かな森を映す静かな湖面とエリア内から産出した巨石を配置した修景ゾーンなどが出現しました。この湖畔一帯は新得の新しいリゾートエリアとして現代の生活に疲れた心を癒してくれる雰囲気を醸し出しています。
 近年、特に環境問題が取り沙汰されている中にあって、地元「十勝のアートを考える会」の現代アート作家を中心に、自然の素材を生かした新しい地域文化の創造活動「サホロ環境アートの森創造事業」が、豊かな自然いっぱいの「サホロ湖」を舞台に始りました。
 世界各地で台頭している現代アートの流れはいまや環境アートが主流となりつつあり、日本国内でもいくつかの取り組がありますが、ここサホロ湖のようにロケーションに恵まれ、広大な面積を舞台として長期にわたり作品を周囲に同化させていく試みは他に類を見ないものであります。また、この活動が全町的に広がり見
せ将来的には「街中が美術館」という目標につながるものと期待しております。新しいまちづくりのひとつの形態として、開拓2世紀に踏み出す新得町から広く世界に情報発信していければと考えています。
 この事業には、(財)河川環境管理財団、帯広土木現業所、帯広開発建設部十勝ダム管理所、北海道電力(株)新得電力所など関係機関団体にご支援ご協力いただきましたことに深く感謝申し上げます。

サホロ湖環境アートの森創造委員会
                    委員長 新得町長 斉藤 敏雄

 




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