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作品をご覧になる方へ
 自然豊かな北海道に暮らしていても、地球の環境汚染問題は避けてはとおれません。人間は長いこと、この地上に君臨し、この地上を支配してきました。
 今、その責任において、この地上の疎外された自然、歪められた環境の修復をはかることが急務となりました。
誰かが、国が、行政が何かをしてくれるだろう…と待つよりは、行動です。
 まずは、わたくしの身近な場所に息づいている自然の健やかな存続を願い、1999年夏、この町にはかつて3年間 暮らしていたことがあるのですが、上川郡新得町「サホロ湖環境アートの森」の樹木(幹)に、2000枚のマスクをかけました。
 そして、きらに1999年冬には、当時暮らしていた河東郡上士幌町居辺(オリベ)の樹木(幹)に、200枚のマスクをかけました。
 使用するマスクは、喉頭からのほこりや病原体の侵入を防いだり、あるいは患者からの病原体の散布、伝播
を防ぐ普通のガーゼ製の衛生用具ですが、見る人によっては、このマスクから防毒マスクなどをも連想するかもしれません。いすれにせよ、この行為(アート)が具体的で単純な分だけ、ひとびとは、樹木が一斉に「マスクをかけた」ことの意味を容易に理解し、こうした事態の重要さにすぐにも気付くでしよう。
 風雨(汚染)にさらされながら、樹木と−体となって7ケ月、12ケ月、15ケ月、21ケ月を過ごしたマスクの標本…。
 無言のマスクの標本に、何を感じとられましたか。

2001/5/11 池田 緑



200 trees in ORIBE put on their masks
for 15 months (23.8.1999〜7.3.2001)


200 trees in ORIBE put on their masks
for 15 months (23.8.1999〜7.3.2001)


2000 trees in SAHORO put on their masks
for 12 months (13.8.1999〜13.8.2000)


2000 trees in SAHORO put on their masks
for 12 months (13.8.1999〜13.8.2000)


2000 trees in SAHORO put on their masks
for 12 months (13.8.1999〜13.8.2000)


2000 trees in SAHORO put on their masks
for 21 months (13.8.1999〜3.3.2001)
写真撮影/戸張良彦